カキツバタ
水面の風を 受けながら
揺れる花びら 紫の
浴衣の帯の 結び目に
似ているように 見えるのは
君を想えば
君を慕えば
ー茂乃音ー
カキツバタ
水面の風を 受けながら
揺れる花びら 紫の
浴衣の帯の 結び目に
似ているように 見えるのは
君を想えば
君を慕えば
ー茂乃音ー
紫に
染まりし雨の 花びらを
数えるたびに 思い出す
雨に別れし 彼の人よ
ひとひらみひら 八重の花
ぐるり巡りて
元のひとひら
ー茂乃音ー
小雨降る
朝の気配に 咲き誇る
後ろ姿の 花姿
着物姿の 君恋し
襟足に咲く 恋の花
淡き水色
雨に流れる
ー茂乃音ー
水色の
開いたばかり 紫陽花の
生まれたばかり 花びらは
森の囁き 歌声に
おとぎ話に 夢うつつ
優しい風に
うつらうつらと
ー茂乃音ー
雨上がり
紫陽花小道 手を繋ぎ
歩く二人に 雨しずく
ぽとりと落ちて にわか雨
宿りを探し 走り出す
繋いだ手と手
二人離さず
ー茂乃音ー