和歌の栞

五七五七五七五七五七七の和歌を詠みます

冬の栞 十六頁

梅はじめ 一房と 二房三房 梅はじめ 花を忘れた 冬の森 日差し忘れた 冬の空 明かり灯すは 梅の花 うすべに色の 春のはじまり ー茂乃音ー

冬の栞 十五頁

木枯らしいつか 木枯らしは 冬の旅路を 駆け足で 北へ北へと 駆け巡る 行き着く先は 果てしなく 空の彼方を 果てもなく いつか来た道 いつか見た空 ー茂乃音ー

冬の栞 十四頁

雪解け遙か 雪解けを 待ちて冷たく 冬の岸 川は凍えて 細くなり 枝は震えて 葉は落ちる 山の頂 雪解けを 共に待ち侘び 冬の日差しと ー茂乃音ー

冬の栞 十三頁

雨雲割れて さめざめと 冬の長雨 さむざむと 落ちる涙に 寂しさを 流して空は 開けてゆく 開けた空から 降り注ぐ 天の恵みに 涙拭いて ー茂乃音ー

冬の栞 十二頁

光一葉 輝ける 光冷たき 冬山の 木立は纏う 冬青葉 ひとひらごとに ひとときの 時を刻みて 日は過ぎて 光重ねて 時を重ねて ー茂乃音ー

冬の栞 十一頁

冬の羽衣 北風は 白い羽衣 身に纏い 天を駆け抜け 冬の空 衣幾重に 重なれば 光幾重に 重なりて 輝き幾重 冬の羽衣 ー茂乃音ー

冬の栞 十頁

冬の白花 冬の色 空は白色 薄曇り 白く凍りし 霜柱 花も真白に 燕子花 冬の光に 染まる花 吐く息白く 朝を迎えて ー茂乃音ー

秋の栞 九頁

秋波の光 夕暮れに 染まる枯葉と さざ波よ 別れを告げる 枯葉へと 別れを惜しむ さざ波が 光に乗せて 文を読む 波間に宿る 別れ言葉よ ー茂乃音ー

秋の栞 八頁

落ち葉月 時過ぎて 秋の終わりか 落ち葉月 はらりと落ちる 秋の色 燃ゆる命を 閉じ込めて 染まる落ち葉は 茜色 過ぎゆく秋の 日々を宿して ー茂乃音ー

秋の栞 七頁

ふたえ衣 もみじ葉は 一重二重と 枯れ落ちて 秋から冬の 衣替え 秋の名残よ 紅衣 冬の訪れ 影衣 二つの衣 時を彩り ー茂乃音ー

秋の栞 六頁

秋空さらさ 秋空に 竹藪さらさ さやらさら 東の風に なびかせて 西の風には 残り香を 南の風に 微笑みて 北風吹きて 襟を震わせ ー茂乃音ー

秋の栞 五頁

影木立 秋の日の 光を受けて 影木立 染まる秋葉は はらはらと 光る木漏れ日 きらきらと 影を彩る 秋飾り 輝く木立 秋を装う ー茂乃音ー

秋の栞 四頁

川辺の光 静けさを 求めて川辺 佇めば 秋の色味を 携えて 彩添える 秋木立 水の煌めき 葉の光 川辺に宿る 秋の光よ ー茂乃音ー

秋の栞 三頁

紅葉傘 小春日の 日差しを受けて もみじ葉の 木陰に隠れ 休めれば 木陰にありて さにあらず 秋色染めた もみじ傘 傘を眺めて 秋を眺めて ー茂乃音ー

秋の栞 二頁

秋の便り 水流る 秋の便りを 乗せながら 届く知らせに もみじ葉は 頬を赤らめ 染まりゆく 秋ともみじの 恋文は 山から谷へ 里を染めゆく ー茂乃音ー

秋の栞 一頁

森の光 森の中 静けさ纏う 木漏れ日は 夏の光を ぬぎ捨てて 秋の光に 衣替え 思い出単衣 脱ぎ捨てず 木の葉に映す 夏の思い出 ー茂乃音ー 1年半ぶりに投稿を再開しました。 どうぞよろしくお願いします。 併せて2つの和歌サイトを作りました。 和歌四十七…

綿雲よ 皐月の空を 西へ東へ

雨上がり 空は皐月の 青空に 綿雲ふわり 流れゆく 五月雨涙 晴れ渡り 心の空に 浮かぶ雲 時風吹て 西へ東へ ー茂乃音ー

藤の花 花房踊り 夏を招いて

春色と 夏色混ぜて 紫の 花を咲かせて 藤の花 春から夏を 橋渡す 卯月皐月の そよ風に 花房踊り 夏を招いて ー茂乃音ー

花びらを 落として残す 春の残り香

八重桜 過ぎゆく春に 後ろ髪 引かれて残す 花びらは 春の名残の 花心 咲かせて纏う 花衣 落として残す 春の残り香 ー茂乃音ー

里桜 花びら降らし 春を知らせて

里山に 春の訪れ 告げるのは 春色染まる 里桜 花びら触れて 目を覚ます 森の緑と 里の花 春の知らせを 花は携え ー茂乃音ー

花開く 枝垂れ桜は 春の涙か

流れゆく 春の涙の 桜花 枝垂れ桜は 花開く 短き春を 祝いてか 儚き春を 想いてか 涙は染まる 春は華やぐ ー茂乃音ー

機織りて 春を装う 花の羽衣

赤白の 混ざり綾なす 花の糸 紡いで染めて 機織りて 春を装う 梅の花 里山纏う 花衣 春の衣は 風にたなびく ー茂乃音ー

春の日の 光を浴びて 花に焦がれて

春の日の 光を浴びて 梅の花 春に焦がれて 花開く 見惚れて流る 春の風 振り返らずも 胸の内 恋に花咲き 花に焦がれて ー茂乃音ー

梅の花 奏でて祝う 春の兆しを

如月の 冷たき空は 澄み渡り 浮かぶ白雲 寂しくも 語りかけるは 梅の花 ぽつりふわりと 花の音を 奏でて祝う 春の兆しを ー茂乃音ー

白梅の 蕾まどろむ 春遠からじ

白梅の 硬き蕾に 包まれて 冬の日差しを 浴びながら 春の訪れ 聞き耳を 立てて微睡む 夢の中 春遠からじ 白き蕾よ ー茂乃音ー

冬木立 空に広がり 寒さ彩る

冬木立 空に向かいて 広がりて 寒さ彩る 枝の花 花は咲かねど 冬空に 凍てつく寒さ 描き添えん 真白な雲に 枝を走らせ ー茂乃音ー

朝靄に 浮かび混ざるは 影か光か

朝もやに 浮かび上がりし 山並みは 昇る朝日を 背に受けて 影をまといて 現れん 光と影と 空と国 共に混ざりて もやの彼方に ー茂乃音ー

白い花 瞳に咲いた 無垢な命よ

白い花 無垢な命の 宿る花 君の微笑み 白い花 君の指先 白い花 見つめる瞳 輝きて あなたの瞳 白い花咲き ー茂乃音ー

秋の陽は 光を伸ばし 空に別れを

光さす 夕暮れ遥か 西の空 沈む夕陽は さみしがり 想いを寄せる 青空に 名残惜しげに 手を伸ばす 光る手のひら 雲をかき分け ー茂乃音ー

庭先に 朝顔開き 駆けよ秋風

庭先の 季節外れの 朝顔の 想いに耽る 横顔に 去りゆく夏の 思い出を 重ねて見つめ 見つめ合い 想いを乗せて 駆けよ秋風 ー茂乃音ー