和歌の栞

五七五七五七五七五七七の和歌を詠みます

朝靄に 浮かび混ざるは 影か光か

朝もやに 浮かび上がりし 山並みは 昇る朝日を 背に受けて 影をまといて 現れん 光と影と 空と国 共に混ざりて もやの彼方に ー茂乃音ー

白い花 瞳に咲いた 無垢な命よ

白い花 無垢な命の 宿る花 君の微笑み 白い花 君の指先 白い花 見つめる瞳 輝きて あなたの瞳 白い花咲き ー茂乃音ー

秋の陽は 光を伸ばし 空に別れを

光さす 夕暮れ遥か 西の空 沈む夕陽は さみしがり 想いを寄せる 青空に 名残惜しげに 手を伸ばす 光る手のひら 雲をかき分け ー茂乃音ー

庭先に 朝顔開き 駆けよ秋風

庭先の 季節外れの 朝顔の 想いに耽る 横顔に 去りゆく夏の 思い出を 重ねて見つめ 見つめ合い 想いを乗せて 駆けよ秋風 ー茂乃音ー

花つぼみ 夢伽ばなし 幾夜重ねて

花つぼみ 月の光と 夜の闇 瞳を閉じて 夢を見て 耳を閉ざして 夢を聞き 鵺の鳴く夜の 伽ばなし 花咲くまでに 幾夜重ねて ー茂乃音ー

睡蓮の 花を求めて 想い募らせ

睡蓮の 花は咲けども 波の上 触れることすら できなくて 語ることすら できなくて 僕の想いを 知りえども 君は波間と ゆらりたわむれ ー茂乃音ー

山茶花の 花びら伏して 春を待つなり

音もなく はらりと落ちる 山茶花の 白い花びら 冬の花 花びら伏して きき耳を 立てて静かに 待つ音は やがて近づく 春の訪れ ー茂乃音ー

冷たさや 冬の泉に 君を求めて

湧き出でる 冬の泉の 冷たさに 温もり求む その先は まだ来ぬ春の 訪れか まだ見ぬ君の 面影か 濡れた指先 君を求めて ー茂乃音ー

明けの空 願いを乗せて 鶴よ飛び立て 

指先に 願いを込めて 折り鶴を 折るは霜月 雪の夜 明けて睦月の 白い朝 願いを運ぶ 明けの空 鶴よ飛び立て 富士の高嶺に ー茂乃音ー 皆様明けましておめでとうございます。 昨年もブログをご覧いただきましてありがとうございました。 今年もマイペースでの…

並木道 永遠に染まりし 想う心葉 

手を繋ぎ 二人歩くは 秋の日の 燃ゆる命の 並木道 枯葉がいくら 落ちようと 貴方を想う 心葉は 変わることなく 永遠に染まりて ー茂乃音ー

落ち葉山 瞼にかかる 秋の木漏れ日

落ち葉山 秋の涼しき 風音に うつらうつらと 眠る頃 瞼にかかる 木漏れ日に うつろうつろと 目覚めれば 染まる夕陽に 肌は冷たき ー茂乃音ー

秋空を 淡く染めるは 秋の白雲

秋空を 淡く染めるは 白雲の 冷めた吐息か 溜め息か 吐息に木々は 肩すぼめ 溜め息受けて 襟立てて 淡き秋空 風は冷たく ー茂乃音ー

すすきの穂 秋風誘い ゆらりゆらりと

すすきの穂 風にたなびく 襟足を ゆらりゆらりと しならせて 傍抜ける 秋風を 手招き誘い 抱きしめて 秋の日差しを 共に眺めて ー茂乃音ー

雲割れて 開けし道に 秋は翔けゆく

雲割れて 青く開けた 空の道 羽ばたく羽根は 茜色 空をひらりと 翔け抜ける 秋の枯葉に 手を伸ばし 想いよ届け 道の彼方に ー茂乃音ー

さざ波の 運ぶ言葉に 耳を澄まして

さざ波の 運ぶ便りは 秋の日の 風の香りと 日の光 さらさら揺れる 波間には 秋の言葉が 綴られて ひと波ごとに 耳を澄まして ー茂乃音ー

秋色に 色づく道を 二人歩いて

秋色に 色づく森に 続く道 日差しの歌を 聞きながら 枯れ葉の文を 読みながら 秋の白くて 細い手を 右手で包み 並び歩いて ー茂乃音ー

忍び寄る 秋の気配よ 君に届けよ

忍び寄る 秋の気配に 染まりゆく 木の葉に文を したためて 秋の気配を 待つ君に 秋の便りを 届けたく 風に頼みて 木の葉落として ー茂乃音ー

花つぼみ 起こさぬように 共に眠りて

花つぼみ 赤く染まりて ふくらみて 花をひらけし その時に 旅に疲れた オニヤンマ つぼみの上で ひと眠り 起こさぬように 花も眠りて ー茂乃音ー

雨あがり 桔梗の花と 縁側の風

雨あがり 紫の花 緑の葉 縁側の風 涼やかに 素足で庭に 降り立ちて 花に近寄り 語らうも 花は語らず されど微笑む ー茂乃音ー

蓮の葉に 雨粒踊り 空を眺めて

雨雫 落ちて一人は 寂しくて 指を触れ合い 手を繋ぎ 腕を絡めて 求め合い 一つになりて 蓮の上 たゆたいながら 空を眺めて ー茂乃音ー

カキツバタ 紫色の 恋の結び目

カキツバタ 水面の風を 受けながら 揺れる花びら 紫の 浴衣の帯の 結び目に 似ているように 見えるのは 君を想えば 君を慕えば ー茂乃音ー

雨雫 花びら数え 想い巡りて

紫に 染まりし雨の 花びらを 数えるたびに 思い出す 雨に別れし 彼の人よ ひとひらみひら 八重の花 ぐるり巡りて 元のひとひら ー茂乃音ー

花姿 淡き想いは 雨に流れて

小雨降る 朝の気配に 咲き誇る 後ろ姿の 花姿 着物姿の 君恋し 襟足に咲く 恋の花 淡き水色 雨に流れる ー茂乃音ー

紫陽花の 小さな花と 森の囁き

水色の 開いたばかり 紫陽花の 生まれたばかり 花びらは 森の囁き 歌声に おとぎ話に 夢うつつ 優しい風に うつらうつらと ー茂乃音ー

にわか雨 紫陽花小道 手と手繋いで

雨上がり 紫陽花小道 手を繋ぎ 歩く二人に 雨しずく ぽとりと落ちて にわか雨 宿りを探し 走り出す 繋いだ手と手 二人離さず ー茂乃音ー

涼やかな 風が咲かせる 和歌の花歌

涼やかな 皐月の風に ひらひらと 青葉は揺れて 心地よく 言葉の花を 枝先に 咲かせて歌う 和歌の歌 風が吹いたら 耳を澄まして ー茂乃音ー

移りゆく 季節はかくも 美しきかな

川縁に 立ちて眺めて 幾年の 時を重ねる 木の幹は 来る日来る日も 変わらない 同じ景色を 眺めるも 移ろう季節 かくも楽しき ー茂乃音ー

薄紅の 花びらやがて 赤く染まりて

並び咲く ツツジの花の 花びらは 外はほんのり 薄紅の 恥じらい色に 染まりても 花のがくには 赤々と 燃える紅色 内に宿して ー茂乃音ー

五月晴れ 流れる雲に 青葉手を振り

五月晴れ 流れる雲を 追いかけて 枝を伸ばして 青葉咲く 雲に届かぬ 手のひらを 五月の風が ひらひらと 手を振るように 青葉揺らして ー茂乃音ー

曇り空 ツツジの花は 君より白く

曇り空 白いツツジの 花が咲く 空より白い その花に 君の手のひら 思い出し 触れてはみても 冷たくて 涙を隠す 雨を呼びけり ー茂乃音ー