和歌の栞

五七五七五七五七五七七の和歌を詠みます

2018-01-01から1年間の記事一覧

茜さし 岩肌染める 秋の川辺よ

岩肌に 落ちる紅葉の 葉の色と 夕陽の色が 混ざり合い 茜に染まる 川面には 冷たき風も 立ち止まり 暫し見初めて 時は茜に ー茂乃音ー

もみじ葉は 空を染め上げ おもかげ恋し

もみじ葉よ 誰を想いて 染まるのか 春の桜の 襟元か 夏の青葉の 黒髪か 想いを重ね 赤々と 空を染め上げ 秋を彩る ー茂乃音ー

丘の上 冬来る前に 雲を掴まん

春風と 夏の嵐を 乗り越えて 辿り着きたる 丘の上 柵の向こうに 見えるのは 高く広がる 秋の空 冬来る前に 雲を掴まん ー茂乃音ー

一枚の 木の葉が光る 秋の栞よ

一枚の 木の葉が光る 森の中 光に透けて 見えるのは 夏と秋との 境目か 秋と冬との 境目か 隙間に挟む 秋の栞よ ー茂乃音ー

夕暮れの 灯りが照らす 秋の背中よ

沈みゆく 夕暮れ時の 水面には 夕日の光 きらきらと 映りてやがて 柔らかな 灯りに変わり 眠たげな 秋の背中を 少し照らして ー茂乃音ー

光る葉の 秋のはごろも 風がまといて

夕暮れの 光の中で 奏でるは 光る青葉の 葉の調べ ひとえひとえに 輝きて いくえいくえに 重なりて 秋風揺れる 秋のはごろも ー茂乃音ー

願いごと 解けぬように 結ぶ花糸

赤い糸 何を結ぶか 彼岸花 雄しべと雌しべ 恋結び 受け継ぐ命 花結び 昼と夜との 時結び 解けぬように 結ぶ花糸 ー茂乃音ー

秋木立 染まり始めた 秋を描いて

秋木立 花は咲かねど 色は咲く 赤に黄色に 橙に 残る緑も 鮮やかに 青き美空の その上を 絵筆が走り 秋を描き上げ ー茂乃音ー

彼岸花 白く咲きたる 無垢の花いろ

彼岸花 無垢の命の 白い花 幾重に染まる 現世の 日々は色落ち 花が咲き 心を映す 白い花 常世の国の 花の色かな ー茂乃音ー

彼岸花 絡まり染まる 赤い花びら

彼岸花 赤い花びら 絡まりて 咲いて染まるは 秋の色 心を焦がす この想い 絡まり咲くは 同じかな ならば染まれよ 秋の花色 ー茂乃音ー

夏の音 風に混ざりし 秋の音色よ

水の音 光の音に 風の音 奏でる音を 手のひらで ふわりと掬い 耳元に 集めてみては 夏の音 音色の中に 混ざる秋音 ー茂乃音ー

風が止み 時は止まれど 水面は揺れる

風が止み 水辺の時が ふと止まり 夏草しずか 目を閉じる 水面は時の 忘れ物 ゆらゆら揺れて 夏の日の 陽射しを映す 時のしじまよ ー茂乃音ー

夏の空 眺める席に 秋の香りが

雲眺め 風を眺める 夏の日に 秋の香りが 風に乗り 隣に座り 夏空を 共に眺めて 時は過ぎ いつしか空は 秋の香りに ー茂乃音ー

水草は 浮世と常世 はざまに揺れて

夏風に 揺れる水面の 浮き草よ 水の底には 常闇が 水の上には 現世が どちらに行くも 楽でなし どちらつかずに ゆらりゆらりと ー茂乃音ー

夏雲と 夏の想いに さよなら告げて 

雲流れ 木立は風に たなびきて 去りゆく人に さよならを 言えずに空を 見上げては 愛しき人の 代わりにと 去りゆく雲に 告げるさよなら ー茂乃音ー

風に乗り 青葉の色が 空を染め上げ

青い風 萌ゆる青葉の 夏色が 白い陽射しに 溶け出して 風に混ざりて 青風と なりて美空を 染めあげて いろどり青く 夏の青空 ー茂乃音ー

踊り合う 青葉と水面 さやらさやらと

風が吹き 青葉は揺れる さやさやと 揺れる青葉に 応えんと 水面は揺れる さらさらと 青葉と水面 合わさりて さやらさやらと 風に揺られて ー茂乃音ー

夏風が 水辺で休み 雲は北へと

照りつける 日差しを受けて 夏風が 水辺にすわり ひとやすみ 流れる雲は 微笑みて 先に行くねと 手を振りて 夏風置いて 北へ向かいて ー茂乃音ー

揺れて花咲くハスの花 花びら一重落ちてはらりと

ハスの花 風が吹くたび ゆらゆらと 心は揺れる 迷い花 迷いは何か 尋ねれば 涙の代わり 葉の上に 花びら一重 落ちてはらりと ー茂乃音ー

薄紅色の睡蓮の 花は水面に浮かび誘いて

艶やかな 薄い紅差し 花開く 水面に浮かぶ 睡蓮の 小さき花が 頬染めて 恥じらいながら 揺れながら 夏の光と 風を手招く ー茂乃音ー