和歌の栞

五七五七五七五七五七七の和歌を詠みます

春の栞 春を喰む

春を喰む なごり雪 岩に染み入り 集まりて 流れとなりて 春を喰む 冬の雫は ひと雫 集めて温む 春の川 雪解け流る 春を纏いて ー茂乃音ー

春の栞 里山春香

里山春香 里山に 春は来たりて 梅の花 光たおやか 春を告げ 木々は芽吹いて 春を知り 梅花咲きて 春香る 色づく春に 染まる山並み ー茂乃音ー

冬の栞 十六頁

梅はじめ 一房と 二房三房 梅はじめ 花を忘れた 冬の森 日差し忘れた 冬の空 明かり灯すは 梅の花 うすべに色の 春のはじまり ー茂乃音ー

冬の栞 十五頁

木枯らしいつか 木枯らしは 冬の旅路を 駆け足で 北へ北へと 駆け巡る 行き着く先は 果てしなく 空の彼方を 果てもなく いつか来た道 いつか見た空 ー茂乃音ー

冬の栞 十一頁

冬の羽衣 北風は 白い羽衣 身に纏い 天を駆け抜け 冬の空 衣幾重に 重なれば 光幾重に 重なりて 輝き幾重 冬の羽衣 ー茂乃音ー

秋の栞 九頁

秋波の光 夕暮れに 染まる枯葉と さざ波よ 別れを告げる 枯葉へと 別れを惜しむ さざ波が 光に乗せて 文を読む 波間に宿る 別れ言葉よ ー茂乃音ー

秋の栞 四頁

川辺の光 静けさを 求めて川辺 佇めば 秋の色味を 携えて 彩添える 秋木立 水の煌めき 葉の光 川辺に宿る 秋の光よ ー茂乃音ー

秋の栞 二頁

秋の便り 水流る 秋の便りを 乗せながら 届く知らせに もみじ葉は 頬を赤らめ 染まりゆく 秋ともみじの 恋文は 山から谷へ 里を染めゆく ー茂乃音ー

秋の栞 一頁

森の光 森の中 静けさ纏う 木漏れ日は 夏の光を ぬぎ捨てて 秋の光に 衣替え 思い出単衣 脱ぎ捨てず 木の葉に映す 夏の思い出 ー茂乃音ー 1年半ぶりに投稿を再開しました。 どうぞよろしくお願いします。 併せて2つの和歌サイトを作りました。 和歌四十七…

花開く 枝垂れ桜は 春の涙か

流れゆく 春の涙の 桜花 枝垂れ桜は 花開く 短き春を 祝いてか 儚き春を 想いてか 涙は染まる 春は華やぐ ー茂乃音ー

機織りて 春を装う 花の羽衣

赤白の 混ざり綾なす 花の糸 紡いで染めて 機織りて 春を装う 梅の花 里山纏う 花衣 春の衣は 風にたなびく ー茂乃音ー

朝靄に 浮かび混ざるは 影か光か

朝もやに 浮かび上がりし 山並みは 昇る朝日を 背に受けて 影をまといて 現れん 光と影と 空と国 共に混ざりて もやの彼方に ー茂乃音ー

花つぼみ 夢伽ばなし 幾夜重ねて

花つぼみ 月の光と 夜の闇 瞳を閉じて 夢を見て 耳を閉ざして 夢を聞き 鵺の鳴く夜の 伽ばなし 花咲くまでに 幾夜重ねて ー茂乃音ー

蓮の葉に 雨粒踊り 空を眺めて

雨雫 落ちて一人は 寂しくて 指を触れ合い 手を繋ぎ 腕を絡めて 求め合い 一つになりて 蓮の上 たゆたいながら 空を眺めて ー茂乃音ー

枯木立 花を探して 出会う山茶花

枯木立 落ち葉に埋もる 山の中 花を探して 分け入りて 風に出会いて うつむきて 見つけた花は 山茶花よ 落ち葉の中の 赤い微笑み ー茂乃音ー

茜さし 岩肌染める 秋の川辺よ

岩肌に 落ちる紅葉の 葉の色と 夕陽の色が 混ざり合い 茜に染まる 川面には 冷たき風も 立ち止まり 暫し見初めて 時は茜に ー茂乃音ー

もみじ葉は 空を染め上げ おもかげ恋し

もみじ葉よ 誰を想いて 染まるのか 春の桜の 襟元か 夏の青葉の 黒髪か 想いを重ね 赤々と 空を染め上げ 秋を彩る ー茂乃音ー

水草は 浮世と常世 はざまに揺れて

夏風に 揺れる水面の 浮き草よ 水の底には 常闇が 水の上には 現世が どちらに行くも 楽でなし どちらつかずに ゆらりゆらりと ー茂乃音ー

風に乗り 青葉の色が 空を染め上げ

青い風 萌ゆる青葉の 夏色が 白い陽射しに 溶け出して 風に混ざりて 青風と なりて美空を 染めあげて いろどり青く 夏の青空 ー茂乃音ー

踊り合う 青葉と水面 さやらさやらと

風が吹き 青葉は揺れる さやさやと 揺れる青葉に 応えんと 水面は揺れる さらさらと 青葉と水面 合わさりて さやらさやらと 風に揺られて ー茂乃音ー

揺れて花咲くハスの花 花びら一重落ちてはらりと

ハスの花 風が吹くたび ゆらゆらと 心は揺れる 迷い花 迷いは何か 尋ねれば 涙の代わり 葉の上に 花びら一重 落ちてはらりと ー茂乃音ー