選
ひとひらよひら 花開く よひらの花の 花びらよ ひとひら雨の 音しずく ふたひら花の 歌しずく みひら木陰の 風しずく よひら重ねて 恋のしずくよ ー茂乃音ー
よひらの雫 雨上がり よひらの花に 雨しずく 触れれば落ちる 雨の玉 花びら風に 揺れるたび 踊る雫の 雨踊り 色づく花と 踊る水玉 ー茂乃音ー
日色雨色 水無月の 梅雨の晴れ間の 花開き お日様色の 赤色と 雨降り色の 青色が 混ざりて染まる あやめ色 晴れと雨との 空の狭間に ー茂乃音ー
夏を奏でて そよぐ風 水面に移る 夏の音 空を映して 青の糸 風を映して 波の糸 二つの糸を 爪弾きて 奏でる音に 水面踊りて ー茂乃音ー
水無月静花 水無月の 木陰に隠れ 花ひとつ 花を揺らして 風ひとつ 風に潜みて 影ひとつ 時は流れて 静かなり 風も静かに 花も静かに ー茂乃音ー
森の息吹 さざ波は 森の息吹か 水鏡 溜息つけば さやさやと 風と戯れ そよそよと 寝息をつけば すやすやと 揺れる水面に 夏を映して ー茂乃音ー
雫を纏いて 雨上がり 光の雫 身に纏い つつじの花の 艶姿 昨日の夜の 雨音を 幾つ数えて 夜は更けて 思い募らせ 朝を迎えて ー茂乃音ー
花簾 花簾 分けて向こうは 春の風 そよぐ姿は 春の舞 風が吹くたび ゆらゆらと 揺らぐ香りは 春の恋 想いを胸に 花を掻き分け ー茂乃音ー
春の染め筆 春の空 枝垂れ桜の 花の絵よ 天から落つる 春色を 枝垂れの筆に 染み込ませ 浮世を染める 染め桜 一筆三筆 春を描きて ー茂乃音ー
薄紅春香 うららかな 春の日和の 桜花 白い日差しと 白い花 春の訪れ 喜びて ほんのり染まる 桜色 春の日差しに 染まる心葉 ー茂乃音ー
春を喰む なごり雪 岩に染み入り 集まりて 流れとなりて 春を喰む 冬の雫は ひと雫 集めて温む 春の川 雪解け流る 春を纏いて ー茂乃音ー
里山春香 里山に 春は来たりて 梅の花 光たおやか 春を告げ 木々は芽吹いて 春を知り 梅花咲きて 春香る 色づく春に 染まる山並み ー茂乃音ー
梅はじめ 一房と 二房三房 梅はじめ 花を忘れた 冬の森 日差し忘れた 冬の空 明かり灯すは 梅の花 うすべに色の 春のはじまり ー茂乃音ー
木枯らしいつか 木枯らしは 冬の旅路を 駆け足で 北へ北へと 駆け巡る 行き着く先は 果てしなく 空の彼方を 果てもなく いつか来た道 いつか見た空 ー茂乃音ー
冬の羽衣 北風は 白い羽衣 身に纏い 天を駆け抜け 冬の空 衣幾重に 重なれば 光幾重に 重なりて 輝き幾重 冬の羽衣 ー茂乃音ー
秋波の光 夕暮れに 染まる枯葉と さざ波よ 別れを告げる 枯葉へと 別れを惜しむ さざ波が 光に乗せて 文を読む 波間に宿る 別れ言葉よ ー茂乃音ー
川辺の光 静けさを 求めて川辺 佇めば 秋の色味を 携えて 彩添える 秋木立 水の煌めき 葉の光 川辺に宿る 秋の光よ ー茂乃音ー
秋の便り 水流る 秋の便りを 乗せながら 届く知らせに もみじ葉は 頬を赤らめ 染まりゆく 秋ともみじの 恋文は 山から谷へ 里を染めゆく ー茂乃音ー
森の光 森の中 静けさ纏う 木漏れ日は 夏の光を ぬぎ捨てて 秋の光に 衣替え 思い出単衣 脱ぎ捨てず 木の葉に映す 夏の思い出 ー茂乃音ー 1年半ぶりに投稿を再開しました。 どうぞよろしくお願いします。 併せて2つの和歌サイトを作りました。 和歌四十七…
流れゆく 春の涙の 桜花 枝垂れ桜は 花開く 短き春を 祝いてか 儚き春を 想いてか 涙は染まる 春は華やぐ ー茂乃音ー
赤白の 混ざり綾なす 花の糸 紡いで染めて 機織りて 春を装う 梅の花 里山纏う 花衣 春の衣は 風にたなびく ー茂乃音ー
朝もやに 浮かび上がりし 山並みは 昇る朝日を 背に受けて 影をまといて 現れん 光と影と 空と国 共に混ざりて もやの彼方に ー茂乃音ー
花つぼみ 月の光と 夜の闇 瞳を閉じて 夢を見て 耳を閉ざして 夢を聞き 鵺の鳴く夜の 伽ばなし 花咲くまでに 幾夜重ねて ー茂乃音ー
雨雫 落ちて一人は 寂しくて 指を触れ合い 手を繋ぎ 腕を絡めて 求め合い 一つになりて 蓮の上 たゆたいながら 空を眺めて ー茂乃音ー
枯木立 落ち葉に埋もる 山の中 花を探して 分け入りて 風に出会いて うつむきて 見つけた花は 山茶花よ 落ち葉の中の 赤い微笑み ー茂乃音ー
岩肌に 落ちる紅葉の 葉の色と 夕陽の色が 混ざり合い 茜に染まる 川面には 冷たき風も 立ち止まり 暫し見初めて 時は茜に ー茂乃音ー
もみじ葉よ 誰を想いて 染まるのか 春の桜の 襟元か 夏の青葉の 黒髪か 想いを重ね 赤々と 空を染め上げ 秋を彩る ー茂乃音ー
夏風に 揺れる水面の 浮き草よ 水の底には 常闇が 水の上には 現世が どちらに行くも 楽でなし どちらつかずに ゆらりゆらりと ー茂乃音ー
青い風 萌ゆる青葉の 夏色が 白い陽射しに 溶け出して 風に混ざりて 青風と なりて美空を 染めあげて いろどり青く 夏の青空 ー茂乃音ー
風が吹き 青葉は揺れる さやさやと 揺れる青葉に 応えんと 水面は揺れる さらさらと 青葉と水面 合わさりて さやらさやらと 風に揺られて ー茂乃音ー