秋色に
色づく森に 続く道
日差しの歌を 聞きながら
枯れ葉の文を 読みながら
秋の白くて 細い手を
右手で包み
並び歩いて
ー茂乃音ー
秋色に
色づく森に 続く道
日差しの歌を 聞きながら
枯れ葉の文を 読みながら
秋の白くて 細い手を
右手で包み
並び歩いて
ー茂乃音ー
忍び寄る
秋の気配に 染まりゆく
木の葉に文を したためて
秋の気配を 待つ君に
秋の便りを 届けたく
風に頼みて
木の葉落として
ー茂乃音ー
花つぼみ
赤く染まりて ふくらみて
花をひらけし その時に
旅に疲れた オニヤンマ
つぼみの上で ひと眠り
起こさぬように
花も眠りて
ー茂乃音ー
雨あがり
紫の花 緑の葉
縁側の風 涼やかに
素足で庭に 降り立ちて
花に近寄り 語らうも
花は語らず
されど微笑む
ー茂乃音ー
雨雫
落ちて一人は 寂しくて
指を触れ合い 手を繋ぎ
腕を絡めて 求め合い
一つになりて 蓮の上
たゆたいながら
空を眺めて
ー茂乃音ー
カキツバタ
水面の風を 受けながら
揺れる花びら 紫の
浴衣の帯の 結び目に
似ているように 見えるのは
君を想えば
君を慕えば
ー茂乃音ー
紫に
染まりし雨の 花びらを
数えるたびに 思い出す
雨に別れし 彼の人よ
ひとひらみひら 八重の花
ぐるり巡りて
元のひとひら
ー茂乃音ー